非侵襲コレステロール・グルコース測定装置

非侵襲コレステロール・グルコース測定装置
CLE-110仕様書

1.概要
本システムは人の皮膚に含まれるコレステロールエステル及びグルコース濃度非侵襲的に測定し、血液中の総コレステロール値、LDL値及血糖値を計測するシステムです。赤外ATR法を用い、採血することなく各濃度を計測出来ます。高性能赤外線検知器と高精度のバンドパスフィルターの組み合わせで短時間に計測結果がわかります。

2.システム構成
本システムは以下の各装置により構成されます。
1)赤外光源部
2)測定部(ATRセンサー部)
3)照射光学系
4)測定光学系
5)回転フィルターユニット
6)検出部
7)計測制御及びデータ処理ソフトウエア
8)制御及びデータ処理用PC

3.各部の仕様と機能

3.1 赤外光源
光源はセンサー部の過熱を防止するため全体の熱容量が小さく、赤外領域に効率よく発光する小型赤外光源です。
発光体(フィラメント等)は光学系に整合性のとれた大きさであること、光量が大きいこと、適切な使用時間が保証されていることが必要条件です。
本装置では、ATRの入射端面(2mm×10mm)およびセンサー(検知器)の受光面の大きさ(◇2mm)を基に光学シミュレーションを行った上、光量および光源寿命をも考慮し、下記の赤外光源(発光体1.9mm×4.4mm)選定しました。

光源「EK-8523」HelioWorks製*小型赤外光源 〔ケーエルブイ〕
発光部サイズ1.9mm×4.4mm
→ 発光体の長辺を光学ベースと平行(ATRプリズムの入射端面の長辺に平行)に設置する。
ホルダー・形状:光源ランプの放熱を行う機能を持たせるため、光源ランプのケース外周を円筒形ホルダーで同心状に締める構造にする。
接触面積を大きくし、熱伝導を良くすることを図る。
・素材:Al(アルマイト黒)
調整範囲・高さ:無調整
・水平方向:光軸に直交する方向に移動できるようにガイドピンを付ける。可動範囲は±1mm

3.2 測定部(ATRセンサー部)

ATRプリズムは、表面に近接場光を発生させて試料の吸光度測定を行う素子です。その長さと厚さによって、全反射を起こす回数(測定光路長を反映する)が決まります。
本装置では、中心光が上面(測定面)で6回全反射する形状を採用しました。

ATRプリズム・形状:幅10mm、厚さ2mm、長さ(上面24mm、下面20mm)両端の斜面角度45°
・材質:ZeSe(またはZeS)
・光学研磨:上面と下面、及び両端面(斜面)
ホルダー○構造
・ATRプリズムを接着部分以外は何処にも接触しない状態で保持する。
・入射光、出射光を蹴らない広い開口をもつ。
○光学ベースへの取付法
・ATRプリズムをホルダーごと着脱する。
・位置出しピンを使用し位置再現性を確保する。
○素材:Al(アルマイト黒)
保護カバー・ATRプリズムを保護するため、使用しない時(及び輸送時)にはATRプリズムを覆うカバーを取付ける。

3.3 照射光学系
光源からの赤外光を集め、ATRプリズムに照射する光学系を構築します。明るさ:F=1.0
球面鏡M1で光源光をATRプリズムに収束照射します。検出器が焦電センサーのため、光源を断続光とする必要があります。光源の直後にチョッパーを配置します。

光学系・等倍結像系。Fナンバー=1.0
光源発光部1.9mm×4.4mmの像をATRプリズムの入射面2.83mm×10mmに等倍結像させる。但しレンズの収差により、実際は少し大きく結像するため、光量が最も多くなるように光軸方向の距離を調整する。
球面鏡■レンズ規格 φ25
L1:平凸レンズ、r=15、tc8、材質BaF2
L2:平凸レンズ、r=15、tc8、材質BaF2
凸レンズは〔林レンズ〕
両凸レンズは〔応用光研〕
■ホルダー
素材は、Al(アルマイト黒)
■調整範囲
光軸に沿って移動できるようにガイドピンを付ける。可動範囲は±5mm
チョッパー・光源と凹面鏡の間にチョッパーを設置する。
・チョッパーの回転数は1~20Hzを使用する。

3.4 測定光学系
ATRプリズムから出射する光を効率的に集め、フィルターを通してからセンサーに集光する光学系です。
ATRプリズムからの出射光をレンズL1で広く集め、平行光束にします。平行光束中に所定のビームスプリッター(ハーフミラー)BS1を配置して半分を規格化用検出器へ、残りの半分を各バンドパスフィルター/検出器へ導入します。規格化用光束はダイクロイックフィルターDF1により、アミドIIピーク1539cm-1は透過し、ベース位置4500cm-1の光は反射されます。
それぞれの光はバンドパスフィルターを通り、レンズL2及びL3により検出器D1,D2に集光されます。
一方ビームスプリッターで分けられた光束はF1~F8のバンドパスフィルターを透過してレンズL4で検出器D3に集光されます。
各部の詳細仕様は以下の通りです。

光学系・縮小結像系。Fナンバー=1.0
ATRプリズムの出射面2.83mm×10mmから出射した光を、センサー(受光面2mm×2mm;◇形状)に縮小結像させる。センサー受光面が小さいこと、及びレンズの収差により結像光が大きくなるが、その中で最も光量が多くなるように、レンズの光軸方向の位置を調整する。*センサーの位置調整も同時に行う。
レンズ■レンズ規格 φ25
L3 :平凸レンズ、r=15、tc8、材質BaF2
L4 :両凸レンズ、r1=r2=18.2、tc13、材質CaF2
L4+:平凸レンズ、r=15、tc8、材質BaF2
L5 :両凸レンズ、r1=r2=18.2、tc13、材質CaF2
L6 :両凸レンズ、r1=r2=18.2、tc13、材質CaF2
L6+:平凸レンズ、r=15、tc8、材質BaF2
凸レンズは〔林レンズ〕」
両凸レンズは〔応用光研〕
■ホルダー
素材:Al(アルマイト黒)
■調整範囲
可動範囲は±5mm
光軸に沿って移動できるよう、ガイドピンを付ける。
■ホルダー
素材:Al(アルマイト黒)
■調整範囲
±2°(入射光45°に対して)
回転中心にピンを打つ
6.4フィルター(リファレンス用)■規格
サイズ:φ25、t1.0以下、必要有効径φ23〔日本真空光学〕
■ホルダー
素材:Al(アルマイト黒)
■調整範囲
±15°(入射光0°に対して)回転中心にピンを打つ
6.5ハーフミラー■規格
サイズ:φ25、t1.0以下、必要有効径φ23〔日本真空光学〕
■ホルダー
素材:Al(アルマイト黒)
■調整範囲
±2°(入射光45°に対して)回転中心にピンを打つ
6.6ダイクロイック フィルター■規格
サイズ:φ25、t1.0以下、必要有効径φ23 〔日本真空光学〕
■ホルダー
素材:Al(アルマイト黒)
■調整範囲
±2°(入射光45°に対して)回転中心にピンを打つ
6.7回転フィルターユニット○Mode1、Mode2では測定光学系に設置する。
Mode3では照射光学系に移動設置する。
*詳細は下記7項に記す。
6.8遮光ケース○各部を遮光ケースで蔽い、迷光の混入を防止する。
○素材:鉄板またはAl、黒色無反射処理

3.5 回転フィルターユニット
ATR出射光(測定光)を分光するフィルターを順次光束中に入れる機構です。
グルコースの吸収ピークに合わせたバンドパスフィルター2種及びその谷の位置、コレステロールエステル2種、脂質、OH/NH、アミドII、ベース位置等々のバンドパスフィルターが順次回転します。
回転(移動)-停止―測定―回転(移動)―停止―測定…のシーケンスの中で、回転(移動)―停止を短時間で行うために、フィルターを取り付けるホルダーや回転盤を軽量にします。各部の詳細仕様は以下の通りです。

バンドパスフィルター■規格
サイズ:φ25(必要有効径φ23)
枚数:8枚
〔日本真空光学〕
■ホルダー
回転ホルダー(円盤型)■フィルター配置
個々のフィルターを接着固定する。
素材:Al(アルマイト黒)
モーターモーター ステッピングモーター。
〔オリエンタルモーター〕 *詳細別紙
モータホルダー回転フィルターユニット全体のホルダーを兼ねる。
取付再現性(主に取付角度)を持たせるために、ガイドピンを付ける。
回転位置センサー■羽根
モータの回転軸に、適切な長さ、幅をもつ羽根を取付ける。
素材:Al(表面処理不要)
■調整範囲
羽根はモータ回転軸に対して、任意の角度(0°~360°)で固定できること。
■フォトセンサー
透過型フォトセンサーを羽根の長さに対応した適切な場所に取付ける。回転の基準角度位置とする。

付表<フィルター一覧>
サイズ:φ20、t1(以下)

番号中心波数cm-1半値幅cm-1測定項目
110325グルコース山1
210805グルコース山2
312005グルコースベース
417245エステル1(谷)
517425エステル1(山)
6292015脂質
7340020OH/NH
8450090ベース1

3.6 検出器
測定波長が赤外領域の広い範囲(約2μm~9μm)にまたがっているため、ーは限られてくる。
その中で感度及び時間応答性の良さから下記の焦電型赤外センサーユニットを採用した。尚、このセンサーユニットは温調機構を内蔵しており、センサー温度を常時32℃に保っている。

センター型名「MTG-21」(DLATGS) 〔島津製作所〕
受光面2mm角(◇形状)
取付台*サイズ他、詳細別紙

3.7 チョッパー
焦電型センサーは断続光(交流)で使用するひつようがあるため、チョッパーを使用する。
チョッピング周波数の変動がデータの安定性に影響をあたえるため、回転速度が正確正確に制御されていることが必要である。

チョッパー
〔大和田光業〕
羽根形状外径80、内径40、羽根数4、開閉比1:1 
モータサイズ:約φ23×35
取付台*寸法等別紙

3.8 フィルム試料ホルダー
測定値の正確さや濃度直線性をチェックするために、既知の吸収スペクトルをもつ標準サンプルを測定することが必要である。そのため、フィルム状の標準サンプルを光路中にセットする機構を設ける。

10.1フィルム試料フィルム試料は、基本的に下記の枠(厚紙等)に取り付けて使用する。
枠サイズ:厚さ2mm(以下)、幅50mm(以下)、長さ30mm(以上)
10.2ホルダーフィルム試料を装置の外部からセットできる構造にし、セットした試料が動かないよう、バネ等で押える機構とする。

フィルター有効径φ12(外径φ15) 垂直配置光学系 球面鏡型
装置高 140mm
幅 300mm
奥行き 228mm
電気系 5,040cm3
(現行CLE-110
装置高 260mm
  幅 350mm
奥行き 250mm
電気系 別ケース 約5,300cm3
ATRプリズムLong
10×44×t2

ATRプリズム
10(or5)×24×t2

フィルター有効径φ12(外径φ15) 垂直配置光学系 球面鏡型

 

フィルター有効径φ12(外径φ15) 垂直配置光学系 球面鏡型

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