製品案内
顕微ラマンEGR-100/300
顕微ラマン分光器システム
EGR-300仕様書
1.概要
本システムは固体、液体試料のラマン散乱スペクトルが迅速に測定できる顕微ラマン測定装置です。
励起用光源として532nmグリーンレーザーを用い、検出器に電子冷却CCDを用いており数秒でラマンスペクトルを測定することができます。分光器は焦点距離30cmの中型モノクロメータを使用し、本格的なラマンスペクトルが測定可能です。また、3種の回折格子を標準装備し、その選択や中心波長、分解能などの制御をパソコンで行うことができます。
2.システム構成
本システムは以下の各装置により構成されます。
1)ラマン測定用分光器
2)励起用グリーンレーザー
3)高感度電子冷却CCD検出器
4)試料室及びレーザー導入光学系・ラマン集光光学系
5)分光器制御・CCD測定及びデータ処理ソフトウエア
6)コントロール用PC
3.各部の仕様と機能
3.1 分光器
本分光器は、アンドール製 Shamrock SR-303i コンピュータ制御(USB)ラマン散乱スペクトル測定用シングルモノクロメータです。
1)光学系:収差補正ツェルニ・ターナマウント
2)焦点距離:303mm
3)開口数:F/4
4)回折格子:68X68mm、3枚(1800、1200、600本/mm)標準装備。パソコン制御で切り替え可能。分解能および一度に測定できる波数範囲をほぼ自由に変更可能です。その他の仕様の回折格子も選択可能。
5)入射スリット:10μm~10mm両開き連続可変モータータ駆動、PC制御
6)出射口:CCD検出器取り付け対応
7)分解能:スリット幅10μmで0.1nm。500nmで4cm-1に相当(回折格子1200本/mm使用時)
8)逆線分散:2.6nm/mm(103.5cm-1・500nm付近の分散・回折格子1200本/mm使用時)
9)測定範囲:1インチのCCDを使用したとき、2627.8cm-1の領域を一度に測定可、1024ピクセルのCCDであれば1ピクセル当り2.57cm-1に相当します。
10)走査波長範囲:0~1450nm
11)寸法:幅394X奥行き328X高さ208mm
12)重量:約20kg
3.2 励起用グリーンレーザー
励起用レーザーは高い安定性と鋭い線幅をもつ波長532nm、出力50mWの超小型グリーンレーザーを用いています。仕様は以下の通りです。
1)モデル名:LCM-S-111(カンタムエレクトロニクス社製)
2)波長:532nmCW
3)出力:55±5mW
4)空間モード:TEM00
5)線幅:0.00001nm(0.00035cm-1)
6)コヒーレンス長:>50m
7)消光比:>100:1 垂直偏光
8)楕円率:0.95-1.05
9)出射時ビーム径:1.1±0.1mm
10)ビーム開き角(全角1/e2):0.6±0.1mrad
11) 長時間安定性:<2%/8時間
12) レーザーヘッド寸法:90X40X29mm
13) レーザーヘッド重量:0.15kg
14) レーザー用ドライバー:PCボードをラマン装置に内蔵
15) ドライバー用電源:DC4.5-6.0V安定化電源、出力>30W
16) 直流電源:直流安定化電源を標準装備
3.3 高感度電子冷却CCD検出器
アンドールテクノロジー社製電子冷却CCD検出器iVac-DR324Bを検出器としてい用います。詳細仕様は別紙カタログ参照
1)Active Pixels : 1650 x 200
2)Pixel Size(WxH) : 16×16μm
3)Active Pixel area well depth (e-,typical): 60,000 e
4)Max Spectra per sec with full vertical binning > 266
5)Read Noise (e-,typical):8.6 @ 35kHz
6)冷却温度:-50℃
3.4 試料室及びレーザー導入光学系・ラマン集光光学系
(試料室光学系ブロック図を参照)
1)レーザー導入光学系及び照射光学系
励起用グリーンレーザー光を効率よく試料室に導入し、レーザー光を試料に照射することができます。レーザーの偏光方向は維持されます。試料面でのレーザースポットの大きさは約20μmです。光路中に1/2波長板(オプション)などの光学素子も挿入できます。
2)インターロック機構
試料室をあけた場合、レーザーの強い反射光が測定者の目に入らないように自動的にOD3(0.1%)の減光フィルターが光路に入ります。試料室を閉じたときはインターロック機構は自動的に解除され、測定することができます。
3)試料ステージ及び試料セル
試料ステージはXYZ方向でマニュアル操作が可能なステージです。OD3(0.1%)のフィルターにより減光されたレーザー光が試料に照射されている位置を確認できます。試料セルは固体用、液体用を準備しています。高分子フィルムなども測定できます。種々の形状の試料に対応可能なセル及びホルダも準備できます(オプション)。
4)ラマン集光光学系
試料から散乱したラマン光は集光レンズにより効率よく集光され、分光器に導入されます。レーリー散乱光はノッチフィルターにより除去されます。通常の固体試料では約300cm-1以上から測定可能です。スーパーノッチフィルタープラスなどの高性能フィルター(オプション)の使用で50cm-1からラマン測定が可能となります。
5)照射方向の選択(オプション)
試料に照射するレーザー光をラマン光の観察方向に対して90度方向から照射することができます。
6)偏光測定(オプション)
レーザー光の偏光方向を90度回転するため、レーザー光路に1/2波長、ラマン光の偏光測定を行う検光子及び偏光解消板をラマン光路中に設置することができます。
7)顕微ラマン装置(オプション)
オプションとして微小領域のラマン測定のための顕微ラマンユニットが追加できます。試料面の観察及び試料に照射されているレーザー光の位置を観察用CCDカメラを用いてPC画面上で確認することができます。100倍の対物レンズを用いることにより、レーザー光を1μmまで絞ることができます。
8)共焦点光学系(オプション)
試料にレーザー光を照射したとき、容器であるキャピラリーガラスからのラマン光や後方散乱照射では窓やレンズからのラマン光が妨害となることがあります。また、高温下の測定の場合はセル壁からの背景光が妨害となる可能性があります。その影響をできるだけ少なくするため、試料へのレーザー照射位置からのラマン光のみを透過する共焦点光学系をラマン集光光学系に設置することができます。
9)追加レーザー(オプション)
532nmグリーンレーザー以外のレーザーも追加できます。
10)その他の特殊測定が可能な特注システムが追加できます。
3.5 制御用ソフトウエア及びデータ処理ソフトウエア
分光器の波長制御、回折格子選択、スリット幅制御、CCD測定制御がUSBを介してパソコンからできます。得られたラマンスペクトルのデータ処理が可能です。これらの制御はノートPCで可能です。