フッソガス測定用長光路セル
概略仕様書
1.概要
本装置は可視紫外分光光度計に取り付け、フッ素ガスの定量測定を目的としたUV用長光路ガスセルです。283nmの紫外光を用い、セル内を数回反射、光路長40~400cmのセルで効率よくフッ素ガス濃度を測定します。
2.構成
UV用長光路ガスセル装置は以下のユニットから構成されます。
1)UV光導入光学系
2)長光路ガスセル
3)セル固定用ベース
3.各部の機能と仕様
UV用長光路ガスセル装置は以下の機能と仕様を有しています。
(図1UV用長光路セルブロック図参照)
1)UV光導入光学系
可視紫外分光光度計からサンプル側に導入された集光光束を凹レンズL3によって平行光束とし、平面鏡M6によってセルに導入します。M7及びM8によってセル内を所望の回数反射した光は平面鏡M9で折り返し、凹レンズL4により分光光度計のF値に合わせて導入されます。
2)長光路ガスセル
長光路ガスセルは窓板にCaF2、セル本体にステンレス製円筒を用います。セル長は20cmで5回反射し、光路長は200cmです(添付表参照)。
反射鏡M6,M7,M8及びM9は光軸調整可能なホルダに設置されています。
3)セル固定用ベース
長光路ガスセル本体をベースに固定し、さらに分光光度計にベースを再現性よく固定します。
ガスセルの大きさ、光路長及び反射回数に関する検討
1)CaF2の285nm付近での透過率:約90%
2)アルミミラーの285nm付近での反射率:約90%
3)凹レンズL3,L4の透過率:約90%
4)セルを除いた光学系(L3,M6,M9,L4)の透過率(0.9の4乗)は65.6%
5)セル長を20cm及び50cmにしたとき、それぞれの反射回数における透過率は以下の表になる。
セル本体の長さ |
20cm |
50cm |
|||
往復回数 |
1 |
5 |
1 |
2 |
4 |
光路長(cm) |
40 |
200 |
100 |
200 |
400 |
CaF2通過回数 |
4 |
20 |
4 |
8 |
16 |
M7,M8反射回数 |
1 |
9 |
1 |
3 |
7 |
セルの透過率(%) |
53.1 |
4.7 |
53.1 |
31.4 |
8.9 |
全体の透過率(%) |
34.9 |
3.1 |
34.9 |
20.6 |
5.8 |
この表にあるように20cmガスセルで2mの光路長を得ようとすると5回の往復回数となり、全体の透過率は3%程度になる。スペースが許せるのであれば50cmガスセルでは2回の往復で2mの光路長が得られ、このときの透過率は20%程度となる。
一方、分光光度計の迷光は0.05%以下(220,340nm)、ノイズレベルは0.002Abs、測光正確さは±0.004Abs(1.0Absにて)、±0.002Abs(0.5Absにて)となっている。フッ素ガスの吸収強度は小さく、検出限界濃度は迷光と装置の測光正確さ、ノイズレベルなどに影響される。長光路ガスセルの透過率が下がると光強度が小さくなり、フッ素ガスの検出限界濃度は高くなる。定量精度も悪くなる。